真冬の裏庭にインストールされる小さなシェルターから
外に出かけることはないだろう。
移動可能な小さなシェルターは、植物と共に
太陽を受け入れる最大の受容器なのだ。
裏庭のシェルターは、世界中の太陽と交信できる。
世界中の海は、移動型の光合成型シェルターで満たされている。
彼らは、裏庭の先住民である。
Fig. 203.09 Examples of Geodesic Design in Nature.(RBF)
真冬の裏庭にインストールされる小さなシェルターから
外に出かけることはないだろう。
移動可能な小さなシェルターは、植物と共に
太陽を受け入れる最大の受容器なのだ。
裏庭のシェルターは、世界中の太陽と交信できる。
世界中の海は、移動型の光合成型シェルターで満たされている。
彼らは、裏庭の先住民である。
Fig. 203.09 Examples of Geodesic Design in Nature.(RBF)
シェルター(shelter)は、貝殻(shell)と移動体(trum)の合成語を語源としている。
危険や脅威から逃れ、待避する安全な場所を形成するための遮蔽手段を意味している。
シェルターは、体積、重量、コスト、耐久性に関する人類の要求を
一語で表している最重要な用語である。
概念からプロトタイプまで、つねに科学的に注目すべき基本条件でデザインされる。
シナジェティクスは、幾何学ではない。
シナジェティクスは、
すべての存在に向けられるプロセスに生まれる。
三次元幾何学で代用する閉じた技法から
シナジェティクスモデルは発見されないように
デザインされている。
実際、構造に関わる専門家たちは、宇宙の重要な構造を発見しなかった。
1949年バックミンスター・フラーによって
球状テンセグリティは、絶えず共振し共鳴する
もっとも単純な生きた無生物として発見された。
その後、細胞テンセグリティを構成するタンパク質には、
圧縮材にも張力材にも変換され、細胞の形態を保つ機能が発見された。
細胞膜は構造ではなかった故に、
テンセグリティがもっとも注目されたのは20世紀後半の細胞学からであった。
21世紀の超軽量のテンセグリティ構造の圧縮材と張力材が
すべてカーボン材から構成されるように、
テンセグリティは、4面体の統合体なのである。
統合体には、不可視の張力が関与する。
引用
SYNERGETICS
Fig. 1033.019 Circuit Pattern Tensegrity
テンセグリティ構造の場合、
張力素材を正しく理解して応用すれば
その構造を構成する圧縮材の重量は、10%以下に
構造全体の強度と剛性は、10倍以上になる。
アルミ製品や銅製品の一部で強度などのデータを改ざんしても
最終製品の構造を正しいデータに基づいて再計算した結果が
製品の安全性に問題がなかったのは、
張力によるリダンダンシー(Redundancy 冗長性)が十分に高かったからだ。
航空機もロケットも金属の張力を構造体の表面で利用しているのである。
したがって、神戸製鋼による金属素材の検査データの改ざん事件では
素材部門と機械部門とが共同して構造解析した結果に基づいて
テストレポートを改ざんしていた可能性がある。
データの改ざんには、明らかにバックミンスター・フラーの
<doing more with lessing>の理論が利用されている。
張力によるリダンダンシーによって
アルミや鉄の材料までより安く製造できていたのである。
テンセグリティモデルを触れば、
張力の働きを理解できる。
テンセグリティモデルを作れば、
シナジーの視覚化を経験できる。
そして、テンセグリティモデルを破壊すれば
自然の非物質化の方法とプロセスを通して
メタフィジックスを理解したことになる。
その時に、初めて<浮遊するテンセグリティ>の
物理的条件が見えてくる。
不連続の連続こそが、強度と超軽量化の根源として。
釣糸に触ると、魚が掛かっているかどうかは
張力と振動によって瞬時に分かる。
万有引力は、触ることが出来ない。
断面がゼロの非物質化した
弾性率ゼロの破断しない張力材である。
軌道の円周の長さが
電子波の波長の整数倍でしか存在できない電子は
陽子と互いに非接触のまま原子核を構成する。
圧縮材と張力材が互いに非接触でつねに振動する球状テンセグリティでは、
圧縮材の2倍の長さを持もつ張力材で構成される場合が
もっとも安定する。
シナジェティクスは形態の探究ではないばかりか、
シナジェティクスは幾何学ではない。
25世紀間も幾何学は時間を含まなかった。
幾何学の探求者が新たなシナジェティクスモデルを発見することは稀である。
バックミンスター・フラーの時代から
概念モデルの発見を伴うシナジェティクス論文はアカデミズムでは不発だった。
プラトンの正多面体(Platonic solids)が
大理石という固体から離脱できなかったのは、
固体(solid)という永遠性に魅せられた古代メタフィジックスの限界からに違いない。
そして、固体は軍事的な要塞の城壁を維持してきた歴史を圧倒する。
シナジェティクスのモデリングの素晴らしさは、
最初のモデルで言及されなかった
新たなモデル言語をその同じモデルから発見することにある。
シナジェティクスは非物質化へのプロセスに現れるからに違いない。
それは、最初の自分とは違った存在の確認ではなく、
自己を超えた存在(unknown)の兆しなのである。
時折、シナジェティクスモデルは、メタフィジックスとフィジックスを
相互に変換する触媒機能を形成する。
☆解説 5回対称性の神秘について 梶川泰司
5個の正4面体から構成された
各正4面体を構成する6本のパイプは、他の4個の正4面体と点接触で構造を相互に安定させシナジー的に自律する。
バックミンスター・フラーのテンセグリティは、
「臨界的に接近しながら分割された独自な出来事が、
純粋な原理において複合的に相互に作用する集合のみから形成された(RBF 1983)」
構造とパターンが発見され、
その構造とパターンが圧縮材と張力材に置換された最初の概念モデルである。
原子核やフラーレンの構造安定性を、
テンセグリティモデル以上の具体性に置き換えることに
だれも成功していない。
バックミンスター・フラーのテンセグリティの発見(1927,1949)によって、
プラトンの正多面体群が、
原子論の最初のモデルだった科学哲学史は完全に塗りかえられてる。
「鉄の棒が生コンに偶然落下してから25年が経過して
大型建築物における鉄筋コンクリートの実用化がはじまった」
(バックミンスター・フラー 1983)
柱と梁が90度で一体化した構造は、
地球上の疑似的な固体の概念に頑なに固執した物質化である。
物理学はけっして固体を発見しなかった。
非科学的な固体概念こそ、他の天体では過剰な重量ゆえに非実用的である。
地球上の資源では、人類のための20億戸の固体的住居は、供給不可能だ。
しかし、棒と紐が偶然から絡まって、
テンセグリティ原理の発見があったわけではない。
テンセグリティは、バックミンスター・フラーが
固体という概念から脱獄する過程で発見した宇宙の構造原理なのだ。
建築の構造とその歴史を全否定する構造原理としてのテンセグリティ構造を、
基礎を必要としない自律した永遠の構造原理として再考すべきである。
宇宙に存続する生命体として、人間の37兆個の細胞はすでに
例外なく基礎のない超軽量のテンセグリティ構造を採用している。
サバイバルの生活空間はバラックから始まっていた。
私の場合は、都市が核兵器によって殲滅された後の
廃墟のなかでのサバイバル方法から幼年時を過ごした経験が
都市生活者の<構造とパターン>を完全にリセットしていたのである。
後年、テンセグリティはバラックの最高峰として認識できたのは
サバイバルの現実性からであった。
井戸と畑とシェルター、そして流木でする焚火の夜空は
内部と外部が放射性セシウム137を媒介して一体となっていたにもかかわらず。
テンセグリティは流木を圧縮材とすることができる。
2点間距離を維持する目的で。
観察者の観察方法が自らの経験によって浸食される場合、
<構造とパターン>を生成する概念が、もっとも変化しているのである。
しばしば、場所の喪失やその移動によって、あるいは異文化との邂逅によって。