テンセグリティは
ポジティヴとネガティブな相互関係を
圧縮材と張力材の非鏡像的で相補的な関係を
物質に変換した瞬間に
無限性を否定する有限性から切り離した。
その時に出現した構造は、
技術的かつ社会的限界を設ける臨界的機能と
起源を発見する機能とを同時に果たす。
不連続な圧縮材からなる球系テンセグリティ構造に
直径の限界は存在しない。
相補性というものに権力構造を超える構造を賦与する
思考の幾何学が誕生したのは
テンセグリティ原理の発見からである。
☆テンセグリティプリセッション 2015-06-04 から引用
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思考するテンセグリティモデル
1970年代に私はテンセグリティモデルを
100個以上制作した。
ハイデッカーを毎日読むように。
テンセグリティの完璧な張力的調和を再現する行為は
自己自身の現象学的変化を目指す試練として変化していたのである。
その変化を捉えることは
他者との優れたコミュニケーションを目指しながら
単純化した方法で他者の時間を互いに占有する
対話よりも楽しい方法だと思っている。
1981年に、その種々の制作方法のなかのある方法は
バックミンスター・フラーが
彼が30年前にすでに発見した方法と同じであると助言してくれたが
その他の方法は、同じではなかった。
その方法が21世紀のテンセグリティモデルの
だれでも再現できる新たな調和方法を提供している。
ゴム紐や釣り糸などのヤング率が小さい張力材は
太陽系での張力の研究には時代遅れである。
重力に弾性率もヤング率も存在しないからだ。
張力膜
テンセグリティは
外部から受け取るすべての瞬間を統合する。
内部を通過するエネルギーは
すべてシステムをより強化する振動に変換される。
外部エネルギーを内部化するシントロピックなこの機能は
閉じた張力だけで形成できる。
人体にもに閉じた張力膜(筋膜)がある。
モバイル天測航法訓練装置
モバイル・テンセグリティシェルターは
フライトシミュレータとジオスコープとを
組み合わせたものに近い。
シェルターのトップが透明だからである。
構造の自由
複数の圧縮材をまとめて1つの全体に
統合する実験から
テンセグリティは生まれなかった。
圧縮材が不連続で、
互いに非接触であり続けるには
どんな足場も持たず、大地もなく、
何事かをなしとげてもいない
自由な存在から
<構造の自由>を定義しなければならなかった。
それまでの人類には、結晶質的な固体の概念以外から
考察された構造は、存在していなかった。
どんな部分よりもより重要な部分を所有しない
構造システムの物質化への英知の発見から
半世紀間も経過したが
人々は、より重要でない部分を排除する経済学に依存したままだ。
張力的存在
テンセグリティが美しいのは
すべての部分を隠していないからではなく
それでも全体は不可視だからである。
張力に関する認識は、始まったばかりだ。
例えば、重力には断面積も質量もないが
移ろいやすく儚いものですら
どんなに距離を隔てても
互いに影響しあっている。
物質化された瞬間
テンセグリティは美しい。
張力材が数カ破断したテンセグリティはもっと美しい。
誰にも気づかれないように、ほとんど元の球状を維持している。
局所的な、しかし決定的な破壊に対する概念の牢獄から解き放たれて
部分と全体の絶えざる不可視の相互作用を感じとれたなら
張力の理解が物質化された瞬間がやってくるのである。
包括性
自然はテンンセグリティ原理を
細胞の構造にも筋膜と骨格との相互作用にも応用してきたが
建築家は人類の住宅の基本構造への応用は不可能だと考えている。
テンセグリティ原理の発見からその応用の可能性が
決定的に遅延させられてきた原因を知る機会が乏しいのは
自然の構造を専門分化するその方法が影響してる。
テンセグリティほど
知の包括性を内包している構造は他には存在しない。
それゆえに、自然を分割した専門家によって
未だに構造解析ができないのかもしれない。
航空力学は、死の危険を伴った無数の有人の飛行実験から体系化された。
構造解析には実験の結果を
論理的に解析する以上の機能はないのである。
もっとも重要な構造のモデル言語は
構造の解析行為からは生まれていない。
構造を支配しているのは、自然の構造を定義するメタフィジクスである。
有用性の進化
テンセグリティシェルターは
超軽量で、組立と分解が容易で
断熱性と耐候性、強度と剛性があり
そして、経済的に維持できる
自律的なエネルギーシステムを備えている。
それが、人々の生存にもっとも有用であるからである。
大規模な緊急時に移動に鈍い哺乳類は絶滅する可能性がある。
テンセグリティシェルターは緊急災害用としてデザインされてはいないが
短時間にモバイル可能である。
しかし、住居のモバイル機能の有用性は
ライフスタイルからよりもテクノロジーの進化の非同時性によって
引き裂かれている。
99%の人々は、地震と津波の怖れから
バージョンアップした鉄とコンクリートの壁の部屋を
これからも選ぶだろうから。
————-生き残りをかけて洞窟に再び帰るのだ。
風
テンセグリティシェルターの
張力の調和のために
風(時には嵐)は不可欠である。
テンセグリティにおける外力を分散するときの
システムに調和した振動数に変換する機能こそ、
張力と圧縮力によるシナジーの物質化である。
自然の構造は動くことでより安定する。
この楽器の演奏者は、その住人ではなく風である。
結晶構造でさえ、結晶格子が振動しながら
自ら電磁波(Thermal radiation)を発生する。