デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ

革命という概念は革命的ではない

革命(revolution)=re(逆らって)+volvere(回転する)
だけならば、部分から推測可能な回転周期の
角度変化にすぎないだろう。
発明による真のアーティファクト革命とは、
社会的な現状を支える政治経済の強い流れに逆らう行為ではなく、
社会的なリアリティとは別に実在する「現実の泉」に到達する行為である。

アンティキティラ島の機械 2008年6月30日『ネイチャー』
最古の複雑な科学計算機の復元

第2の重力

魚が海槽に捕獲されてるように
鳥が空籠に繋がれているように
圧縮力が張力(第2の重力)によって幽閉された
テンセグリティ構造は、
大気圏内を浮遊し、
大地をモバイルすることができる。

モバイルテンセグリティ構造 
制作 シナジェティクス研究所 2008
構造デザイン 梶川 泰司

シンメトリー構造の共振誘導結合

あの空間構造の内部には
身体に及ぼすまだ未知の関係が潜んでいる。
シンメトリーの関係だけから説明できない
共振するテンセグリティには
怖れを感じるだろう。
重厚なステンレスパイプの圧縮材を
屋外彫刻のために選んだ
ケネス・スネルソンがまったく知らない
電磁気学的原理だ。

SYNERGETICS RBF 19875
共振誘導結合

相転移(phase transition)

シナジェティクスは大学の外にある。
私がバックミンスター・フラー研究所で
シナジェティクスを研究した時も
シナジェティクスは未だ外部になかった。
アップルホワイト氏は
相転移まで150年続くだろうと言った。
人々がテンセグリティシェルターに住み始めれば
シナジェティクスの外部化は反転する。

相転移(phase transition)
ベクトル平衡体 BBF 1975

産学複合体(Military-industrial complex)=グランチ

優れた科学技術者は
原子力を平和利用として考えたが
軍事利用をさせない方法を用意しなかったのは
その多くが軍産学複合体(Military-industrial complex)に
軍事利用のために高給で雇用されたからだ。
偏差値が高給の代名詞になって久しい。
教育は至る所でグランチの奴隷化のために改造されてきた。
日本製のF35Bが製造される日は近い。

小型のいずもを「空母」化するには垂直離着陸できるF35Bが前提になる。

構造の定義は変容する

シナジェティクスには日々発見がある。
テンセグリティについて昨日の発見を思い出して
ほとんど何も分かっていないことを知ると、
それだけで構造の定義は変容する。
私のスタジオは高い天井までモデルだらけで
テンセグリティに引越すしかなかったのが
テンセグリティにとって最大の変化だった。

バイダルカが外洋を航行できるように
テンセグリティは大陸の表面を航行するために
浮遊するほど軽量だ。

動く組立ライン

テンセグリティシェルターは
互いに遠隔地にいるアセンブラーとの対話と
既製品との相互関係が作り出す張力から
デザインされるまったく新しい空間構造なのだ。
テンセグリティシェルターの動く組立ラインは
外部のロジスティクスと
内部のシナジェティクスとの共存から形成される。

互いに遠隔地にいるアセンブラーとの対話からデザインされた
テンセグリティシェルター 2008 
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司

美よりも包括的な宇宙の原理

科学的原理をモデル化しただけでは芸術作品にはならない。
テンセグリティに美を求めるよりも
構造原理を応用する仕事がなぜ優先されなかったのか。
美よりも包括的な宇宙の原理を
フラーから学んだスネルソンが
シナジェティクスを発展できなかったのは
欲望による概念の所有にある。

Tensegrity
SYNERGETICS R.B.Fuller 1975

美よりも包括的なテンセグリティ

生物学では細胞という概念を考えた人が
最初に細胞を発見した人だ。
ケネス・スネルソンの傲慢さは
バックミンスターフラーが発見した
テンセグリティの原理と概念を
自分の彫刻の作品名にしたことだ。
スネルソンはフラーの概念から
圧縮材が不連続なテンセグリティ作品を作り始めている。

シナジェティクス3

バックミンスター・フラーに出来なかったことは、
テンセグリティシェルターの中で
シナジェティクス3を書くことだった。
彼の60年代の自宅はジオデシックドームだった。
20年以上の耐候性のある皮膜や張力材が
まだ存在していなかったからではない。
モバイル用のテンセグリティ原理が
まだ発見されていなかったからだ。

テンセグリティ構造 SYNERGETICS RBF 1975