デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ

インテグリティ(integrity)が物質化される時

構造原理の純粋さから
テンセグリティをアセンブルするプロセスに
宇宙のインテグリティ(integrity)が物質化される時、
その先験的システムに予想を超えた驚くべき物理現象が現出する。
テンセグリティシェルターは
強風や豪雨、豪雪や猛暑の気候変動に
共鳴しながらより熟成していく。
それは秘密にすべき空間だったのだ。

Earth Global Circulation_

後方過剰のロジスティクス

成長する空虚を
無数の忙しさで充たす
新たなロジスティクス(兵站学=後方支援)がある。
買う必要はないほど今や物資は後方では過剰だから、
人々の要求を満たすための
空虚が生産されている。
しかし、空虚は生産過剰への反転ではなく
最密な生産性を相補的に空間充填できる構造になり得る。
シナジェティクスには
虚と実を物理的に交換できるモデルがある。

最密空間充填 
SYNERGETICS RBF 1975

シナジーを視覚化したモデル

テンセグリティモデルは
シナジーを視覚化した有機的な非生命モデルだ。
どんな部分の働きからも推測できない
全体のシステムの働きを理解する時、
全体を変えない限り
どんな部分の働きも変わらないことが実験できる。
自分を変えても人間が変わらない場合、
自分が部分の寄せ集めだからだ。

共鳴テンセグリティモデル シナジェティクス研究所 制作 
外力分散用ジョイントによって共鳴作用がより鋭敏に短時間になる。

離脱するためのテンセグリティシェルター(その1)

預金(deposit)の語源は
鉱石・石油などの大地に堆積した自然の富を意味していた。
離脱(withdrawal)とは
預金に対する払い戻し/回収の意味である。
つまり、離脱とはある場所に産みだされた
富を回収する行為であるが、
経済は富を離脱させないように
システムを破綻させる企てなのである。

デザインサイエンスは
人々が自らの力で古い大地から
離脱するためのテンセグリティシェルターをデザインしてきた。

バンアレン帯は放射線帯のシェルター
1958年に米国の物理学者バン=アレンが人工衛星の観測によって発見した。

つねに環境と共鳴するテンセグリティ(再考)

テンセグリティに振動していない瞬間は存在しない。
テンセグリティはつねに環境と共鳴している。
光でさえ電磁波であり物質系が
基底状態に移るとき共鳴放射する。
その振動とその音に気がつき難いのは
われわれの感覚器の限界を超えた振動数だからではなく
感覚器自体がつねに自己のざわめきで振動しているからである。

テンセグリティシェルター構造 プロトタイプデザイン・制作 2008 
シナジェティクス研究所 梶川 泰司

共鳴テンセグリティは弦楽器

張力調整にターンバックルを使用すると
テンセグリティの共鳴作用は減衰する。
それは致命的なエンジニアリングだ。
弦楽器の弦に金属部品がぶら下がっていないように
テンセグリティは弦の純粋な振動数で調律すべき楽器だ。
テンセグリティには見えないターンバックル機能がある。

テンセグリティ構造の共振作用のための
オリジナルの外力分散ジョイント 2011
制作シナジェティクス研究所 構造デザイン 梶川 泰司

コウモリ傘はテンセグリティ構造

コウモリ傘は
コウモリが採用した自然の折りたためるテンセグリティ構造の
プロトタイプである。
強風で傘がひっくり反って漏斗状になる場合
傘の強度が増大するのは
皮膜の表面張力によって圧縮力も飛躍するからだ。
アウトドア用のドーム型テントはこの原理を利用している。

傘の強度が飛躍的に向上する場合

最後のバックパックはインドアへのトリムタブ

大気圏外宇宙への移住には
水と食料とエネルギー、そして住居を安全に確保する
テクノロジーが必要になる。
一方、最後のバックパックによって
裏庭がもっとも身近な小さな惑星になる。
富裕層がこの小さな裏庭の「宇宙の富」を見捨てた時、
アウトドアはもっとも高価で危険な大気圏外に移行したのだ。
最後のバックパックはインドアへのトリムタブだ。

世界初のプロトタイプ
モバイル・テンセグリティシェルター 2008
直径6.5m 重量30kg 構造材はすべてカーボン製
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司

R.B.フラーの1949年の歴史的テンセグリティモデルの再現 

シナジェティクスをこれから学習する人は
テンセグリティで必ず足止めを食らうだろう。
テンセグリティはまだ成熟期に達してなかったからだ。
それゆえにケネス・スネルソンのように
テンセグリティの起源をパクり始めるのだ。
それはシナジェティクスの学習にとって破壊的だ。

バックミンスター・フラーの1949年の
歴史的テンセグリティモデルの再現 
制作 シナジェティクス研究所 梶川 泰司 2005

破壊の過程に秩序が見える

テンセグリティ構造はモデルの形成過程よりも
その破壊の過程に秩序が見える。
半球状テンセグリティ構造でさえ
落下させても何度もバウンドする。
つまり破壊がどこで終わるのかさえ
まだ分かっていないのだ。
神秘を破壊する希有な物理的実験を知れば
誰でもその内部に居住したいだろう。

バックミンスター・フラーの講義用テンセグリティモデル