デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ

全方向的に思考する存在 Total thinking.

Who are you? と尋ねられたなら
動揺を隠しながら名前と職業を答えるにちがいない。
仕事と寿命が短時間に変容する時代に、
「I am who am I.」の現実は、ますます遠ざかる。
1949年、バックミンスター・フラーは、
「私は全体を全方向的に思考する存在」(Total thinking)」と捉えた。
人間は局所的に分断して部分から思考するシステムから抜け出ようとしている。

SYNERGETICS RBF 1975
Fig. 401.00 Tensegrity Tetrahedron with “Me” Ball
Suspended at Center of Volume of the Tetrahedron:

個人がシェルターを生産するための思想

地球外で生存できる環境を確立するのは、
科学である。
エネルギーと水と食料を再生しサバイバルする方法は実験済みだ。
そのコストは劇的に低下してきたが、
地球上を移動できない住居は量産されないまま課税される。
個人がシェルターを生産し課税されないようにするのは、
デザインではなく、思想である。

モバイル・テンセグリティシェルター 
直径6.5m 重量30kg カーボン製
デザイン・制作 シナジェティクス研究所 2008年

インタビュー:テンセグリティシェルターの開発の動機と過程について


必要な物が何もない無常観があらゆる場所で充填される

百年前には観測機器さえなかったその場所が
自然災害に遭った場合、
どんな証拠から「百年に一度」が発せられるのか。
(僅か、三百年前、1707年の江戸時代中期に富士山は大噴火しているので
「三百年に一度」も周期的自然)
言葉が世界を様々に解釈する技法と化す時、
過去の間違った前提条件が最初に復旧され、
変革は後回しにされる。
必要な物が何もない無常観が
あらゆる場所で充填されるのが
平時(戦争と戦争の間)である。

エネルギーと水と食料を買わないで生存する方法は科学的に確立されている。
HI-SEAS(Hawaii Space Exploration Analog and Simulation) Mission 3
PHOTOGRAPH BY HI-SEAS/FACEBOOK

地球上の既製品を使う自律的技法

私はテンセグリティでこれまで三度行き詰まった。
最初は正確な高張力モデルを作成する技法に。
次は折りたためるテンセグリティ構造を
量産型シェルターに変換する理論に。
最後はそのテンセグリティシェルターを
既製品からのみで再現する経済的方法の発見に。
遂に、誰でも複製できる自律的技法は存在したのだ。

これまでの三度の行き詰まりは、
シナジェティクスが自然を模倣しないからだ。

一方、藻類のシェルターを複製する自律的技法は
1億年前以上に完成している。
同型モジュールから構成される藻類の正12面体状の殻が
構造力学的に安定しているのは
自然素材を完全に再生するための
数学とテクノロジーを習得しているからだ。
彼らにとって、既製品とは元素そのものなのだ。

藻類の破壊されたシェルターでは
正五角形状同型モジュールまでは破壊されていない。

http://www.mikrotax.org/Nannotax3/index.php?dir=Coccolithophores%2FNannolith+families+inc+sed%2FBraarudosphaeraceae%2FBraarudosphaera%2FBraarudosphaera+bigelowii

宇宙の完全無欠性(Integrity)

宇宙よりも、未知よりも、そして、自然よりも、
さらにシナジーを超える宇宙の完全無欠性=Integrityは、
国家という最後の宗教を超え、
哲学や科学をも超えている「もう一つの現実」がある。
外部化する「超遠近法」は主観と客観の境界線を破壊する。

「宇宙は自己を含むすべて」バックミンスター・フラー 1972

「Powers of Ten(パワーズ・オブ・テン)」1968年に作られたこの科学映画は、
21世紀の最新版「Powers of Ten」に進化した。

那覇(NAHA)はナーガ(NAGA)の起源(再考)

那覇(NAHA)とは、
ノア(NOAH)であり、ナーガ(NAGA)である。
————–バックミンスター・フラーの1982年の講義

那覇が変われば、日本がかわる。
それをアメリカ海軍(NA-vi-GA-tion)がもっとも怖れてきたことである。
那覇は、バイオスフィアを航海,航空,航行、周回する時の
浮かぶ永遠のマイルストーンである。

2019年10月31日、首里城全焼 
なぜ約1世紀に一回消失し復元してきたのか。
1453年・1660年・1709年・1945年(アメリカ軍の空爆)の焼失に次いで
歴史上5度目の焼失

首里城 戦災で失われる前の正殿(空手演武)1938年(昭和13年)

構造とパターンの元型と漸進的変化の方向性

収穫直前の林檎は台風で落下するとジャムにも適さない。
しかし林檎も台風も、トカマクやバイオスフィアの地磁気も
同じ構造とパターンの元型からやって来た。
漸進的変化は内部へかそれとも外部へか。
人間の住居はその元型に未だ適応できていない。
バイオスフィアのように自然選択しなければならない。

SYNERGETICS R.Buckminster Fuller 1975
Involution and Evolution.
トカマク型のコイル(青)とプラズマ(黄)の図解。プラズマ表面の緑線は磁場。(wiki)

偽テクノロジーは無為自然を遠ざける

自然は結果に対して責任を取らない。
破壊行為の復旧もしない。
人間との絆も必要としない。
始めと終わりがない無限の再生システムが
無機物から有機物まで一貫した無矛盾の過程を
再現するだけではなく、
どんな意図も超えて何もしないことで
すべてを成すシステムに到達したのだ。

火星の砂嵐の中を進む 映画「オデッセイ」より

存在は多面体(Polyhedron)ではなく多頂点体(Polyvertexia)から始まる

植物学は、
花粉粒の表面で花粉四分子の中心から最も離れた頂点を遠心極、
反対側の四分子中心を向心極。遠心極と向心極を結ぶ直線を極軸と定義する。
有機体の面は動く頂点と共に動く稜線の形成後だ。
シナジェティクスは、
自然が採用するモデルを多面体ではなく多頂点体に求める。

存在は多面体(Polyhedron)ではなく
多頂点体(Polyvertexia)から始まる。
上図はツツジの花粉、下図はハスの花粉
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/kafunryuu.html

海洋系酵母から酒を造る

有史以前から酒を造らなかった民族はいない。
米、麦、トウモロコシ、芋、そして果実から。
どんな酒も最初は野生の酵母が糖分と出会ったからだが
酵母は陸でも海でも生存できる。
酒を自由に作らなくされた現代人は
海洋系酵母に滅多に出会わないほど
イーストのように地上で栽培されている。

私は、放射冷却を始めた秋の星々の下で
焚火をしながら
野生酵母のアルコール発酵に支えられている。

酵母菌の発芽は花粉の発芽孔の配置とは異なり非対称である。