戦争がなかった
この半世紀間の平和は
この地獄を隠していただけだった。
ABCC(=Atomic Bomb Casualty Commission)を
検索してみれば
未来に続く地獄が見える。
(私は、子どもの頃、数人の仲間と共に
ABCCの研究棟に侵入して
ほとんどすべてのホルマリン漬け被曝胎児を何度も凝視して
何が起こったかを知った
最初の原爆2世の一人だと思う。)
現在の(財)放射線影響研究所は
ただの表看板だ。
放射性物質などの人体に与える
医学的調査だけで
この緊急事態のリスク回避にまったく無関心なのは
この地獄の正規代理人だからだ。
なぜなら、知っていて
再びなにが起こったかを調査するほど
主観的な非科学はない。
「ヒロシマノート」カテゴリーアーカイブ
アブノックス
原子炉が不要なだけではない。
パイプと送電線、そして料金メータの
すべてが20世紀以後の最大の
アブノックスなのである。
宇宙のエネルギーは増えも減りもしないのだから
科学的に<エネルギーを消費>することは不可能である。
大気圏外宇宙を航行する惑星地球に
料金メータは不要である。
地下鉄
久々に地下鉄に乗って驚いた。
広告産業は急速に衰退している。
大地の除染が
第1次産業になったからだ。
母の涙
ヨウ素が母乳に含まれるとき
母の涙にも
はじめて科学で分析できる
セシウムが含まれている。
菜園場
幼少の頃の私は
歯茎から出血のつづく原爆症に苦しむ母を
理解できなかった。
母は被曝をあまりにも重要な人生の一部だと思っていたので、
ほとんどその話をすることができなかった。
私の家族は四季を通じて
豊かな家庭菜園場にある井戸水で暮らしていた。
いま思えば、
そのときでさえ、
家族全員の内部被爆は続いていた。
その共同の菜園場は
爆心地から5キロ以内の
父が建てた小さなバラックに隣接していたから。
セシウムは
核分裂によって
はじめて
人間の人生よりも短く輝くことができる。
非物質化
兵器の用途開発は平常時に進む。
利害関係で動く人間の無関心が
被曝を確実に
時間的に地域的に
拡大できることがわかった。
これは非物質化した核兵器に等しい。
人工気象
人工地震のことが囁かれている。
少なくとも
ヒロシマの黒い雨は
雨天の日に降ったわけではない。
核爆発によって、
都市での人工気象が発生したのである。
その後の人工気象では
黄色い雨もできるようになった。
あまりにも局所的な
大気中の酸素を独占する方法は
永遠に再生的な植物の光合成によって
科学的に不可能だった。
地下資源の有限なウランに
無尽蔵なエネルギーを期待させたのは
エネルギーを政治的に独占するためだった。
(鉄腕アトムの世代は核物理学の全盛期である)
このすべての企てには各国の税金が使われた。
しかし、知れば知るほど短気な私は
自らの苛立ちに屈してしまいそうである。
廃炉
明るいときに見えないものが
暗闇では青白く見える。
廃炉は生き続ける。
科学者の裏切り
科学者は核分裂反応を発見し、
その生成物に名前を付けるが、
それを食べるなとは言ってくれない。
核分裂反応は
生命反応よりも
魅力的な幻想に満ちているのだろうか。