ためらわず乗りかけた船は、
沈みかけているからだった。
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生活
純粋な時間をお金で求めることに夢中で
その時間を生きることは稀なことだ。
生活費を稼ぐために
ただ存在しているだけである。
その頭に
感じたことが他人と違っていることを大切にしても
考えたことが自分自身と違っていることに気がつかないのは
自分を一番だまし易いシステムが
その頭にインストールされたままだから。
続)煙突
電気自動車から排気口は消えるが
電気を使う電気自動車が増えれば
発電所の煙突は増えるだろう。
電気自動車は石油系送電線に繋がれた
一時的なワイヤレス自動車だ。
まだ石油で動いているから
ガソリンスタンドで充電できるシステムなのだ。
続)川釣り
魚よりも運の悪い釣り人のほうが多い場合は
魚が自分たちの間違いを学習しているからだ。
川釣り
魚をたくさん釣るには
魚の数よりは釣り人の方が少ない場合だけではなく
運の悪い魚よりも釣人のほうが少ない場合である。
脱カバー
本の帯や帯の檄文などは日本だけの習慣である。
書籍カバーに巻かれた薄っぺらい帯で
権力や権威のある者が許可を与えたり保証する
「お墨付き」を好むからだろう。
私は購入した書籍から直ちに「お墨付き」に加担するカバーと帯を
すべて取り払った状態で読む。
本屋のレジではそれらをすべて廃棄することにしている。
脱がされた本は
たいていとてもみすぼらしいが
図書館にいくとたまにこの裸の状態で置かれている。
そのままではこのタイプのカバーは
貸し出しのための耐久性に欠けているから
最近はカバーをパウチしていることが多い。
電子書籍になれば
「お墨付き」が「目次と中身」検索や読者のコメント欄に替わっていけば
リダンダンシーが高いこうしたブックデザインは短命に終わるだろう。
脱物質化によって
やっとなんとか書籍は裸文化に戻れるはずだ。
ライフスタイル
ライフスタイルを変えられるのは人間だけだが
生物保育器という類い稀な環境に
未だ適応できていないからだ。
マッピング・システム
サメのすべての歯は20日に一回の割合で生え替わり
一生に約3万本も生えてくる。
この究極の替歯システムが4億年も変化がなかったのは、
すでにサメの全形態が捕食や繁殖に最も適合した
究極の段階に到達しているからだろう。
事実、世界中の海底や汽水域、淡水域には
サメの歯が無数に散乱している。
彼らは移動しながら
その軌跡を4億年間マッピングしている。
退化
ペンギンは鳥類である。
南極のペンギンが空中を飛べなくなったのは、
氷の大陸に敵がいなかったからではない。
彼らは翼を羽根(feather )のない
ひれ状のフリッパーに退化させて
餌を求めて海中を飛行しているのだ。
彼らの水中速度が容易に最大36km/hに達するのは
海は陸より敵が多いからだ。
陸では長すぎる不格好なフリッパーは
流体との相互作用によって
効率よく揚力を得ると同時に方向舵にするための
抜け落ちる羽根がない翼に退化した
形態デザインだったのだ。
そして、
彼らは食物連鎖の頂点に立つシャチよりも
機敏に動くフリッパーを与えられた。
ーー人間は環境の変化に機敏に適応するために
どの器官を退化させたのだろうか。