e・食・住(energy-food-shelter)」カテゴリーアーカイブ

より分割された遠隔的植民地

イルカが逃げるときは水中よりも空中にいる時間の方が長い。
人間は分散すべき時に互いに遠隔の自宅にいる時間の方が長くなった。
テレワークは「分断と統治」の新しい形態である。
より分割された遠隔的植民地はより拡大する。
個人が主体的に移動しながら仕事するテクノロジーをまだ所有できていない。

ドストエフスキーが描いた最悪の「パンデミック」

「彼は大斎期の終わりと復活祭の一週間を、ずっと病院で過ごした。そろそろ回復しはじめてから、彼は、熱が出てうなされていた間の夢を思いだした。
病気の間に彼はこんな夢を見た。全世界が、アジアの奥地からヨーロッパヘ向かって進むある恐ろしい、前代末聞の疫病の犠牲となるさだめになった。ごく少数の、何人かの選ばれた者を除いて、だれもが滅びなければならなかった。顕微鏡的な存在である新しい旋毛虫があらわれ、それが人間の体に寄生するのだった。しかもこの生物は、知力と意志を授けられた精霊であった。これに取りつかれた人びとは、たちまち憑かれたようになって発狂した。しかし、それに感染した人ほど人間が自分を聡明で、不動の真理をつかんでいると考えたことも、これまでにかつてなかった。人間はかつてこれほどまで、自分の判断、自分の学問上の結論、自分の道徳的な信念や信仰を不動のものと考えたことはなかった。いくつもの村が、いくつもの町が、民族が、それに感染して発狂していった。みなが不安にかられ、おたがいに理解しあえず、だれもが真理の担い手は自分ひとりであると考え、他人を見ては苦しみ、自分の胸をたたいたり、泣いたり、手をもみしだいたりした。だれをいかに裁くべきかも知らなかったし、何を悪と考え、何を善と考えるかについても意見がまとまらなかった。だれを罪とし、だれを無実とするかもわからなかった。人びとはまったく意味のない憎懇にかられて殺しあった。おたがいに相手を攻めるために大軍となって集まったが、この軍隊はまだ行軍の途中で、突然殺し合いをはじめ、隊列はめちゃくちゃになり、兵士たちはたがいに襲いかかり、突きあい、斬りあい、噛みあい、食いあった。町々では一日中警鐘が乱打され、みなが呼び集められたが、だれがなんのために呼んだのかはだれも知らず、ただみなが不安にかられていた。みなが自分の考えや、改良案をもちだして意見がまとまらないので、ごくありふれた日常の仕事も放棄された。農業も行なわれなくなった。人びとはあちこちに固まって、何ごとか協議し、もう分裂はすまいと誓うのだが、すぐさま、いま自分で決めたこととはまるでちがうことをはじめ、おたがいに相手を非難しあって、つかみ合い、斬合いになるのだった。火災が起こり、飢饉がはじまった。人も物もすべてが減びていった。疫病はますます強まり、ますます広まっていった。全世界でこの災難を免れられるのは、新しい人間の種族と新しい生活をはじめ、大地を一新して浄化する使命を帯びた、数人の清い、選ばれた人たちだけだったが、だれひとり、どこにもこの人たちを見かけたものはなく、彼らの言葉や声を聞いたものはなかった。」

☆『罪と罰』(1866年出版)ドストエフスキー(岩波文庫から引用)

自然の資本主義は原子数(元本)を変えない

コロナウイルスの数は人類の数をはるかに超えた。
彼らが加速的に増殖して
人類が短期間に劇的に減少しても
地球の重さはまったく変わらない。
自然の資本主義は原子数(元本)を変えない。
地球人は突然のデフォルトへの回帰に晒されている。
約6,600万年前の恐竜のように。

「ザ・アクセス 恐竜 図鑑 下敷き A4 恐竜大全」 から引用

非常事態の曖昧な贈与で個人を支配する時、

給付金とは、公の機関などが金品を与えること。
支給金とは、役所・会社などが、
それに属する者に金品を払い渡すこと。
社会が個人を支援する場合は、
支援金(Support money)であるが、
日本政府は、給付金と言い始めた。
曖昧な贈与で個人を支配できるが故に、
計画的で明確な支援金のない
ウイルス戦争はより長期化する。

ウイルスの目的は、贈与と交換できないほど純粋だ。

安全装置(fail safe)はインストールされていなかった。

安全装置(fail safe)は、
自分の間違いや失敗を認めた時に、
未然に相手の損失や破壊を完全に防ぐための現実的方法を
システム自体に含ませることを意味している。
人類の生き延びるための安全装置は、
軍事基地を除けば
意図的に消滅させられる前に
どこにも装備されていなかった。

『ニーチェの馬』監督 タル・ベーラ

テンセグリティは反建築的な非結晶構造である

膨大な利益確保のためのエネルギー資源の輸送を
閉じた「パイプシステム」や、
局所的な地域ごとの電力ネットワークで独占する国家によって認可される
住宅・都市建築と全面的に対立したバックミンスター・フラーは、
建築家として振る舞うことはなかった。
実際、彼は建築家のライセンスを持たなかった。

1927年、フラーの創始したデザインサイエンスは、反建築的である。
フラーはシナジェティクスによって
時間を排除した幾何学主義を批判すると共に、
反建築的な非結晶構造であるテンセグリティ構造を発見した。
共鳴作用によって、均質で等方性でありながら
構造の飛躍的な剛性と強度の増加をもたらす。

ニードルボート(高速カタマラン) バックミンスター・フラー
アメンボウのように風で水面を滑走する。船内を持たないヨットである。

21世紀の安全装置(fail safe)

生存に必要なものは、空気、水、食料、エネルギー、住居である。
その順の欠乏から死んでいく人々を見て住居はもっとも後回しにされ、
その逆順の高額な支出によって人類は見事に順応した。
人類の生存のための21世紀の安全装置(fail safe)は、
もっとも高額である。

惑星地球を支配する政治経済のグローバリズムは
ウイルスのネットワークシステムほど一般化していなかった。

惑星地球の大気圏のGlobal Circulation

生存への直観

学校が再開されることを望む両親の意見は想像できるが、
こどもまでそれを望んでいることが理解できない。
こどもの「学校へ行くほど、バカになる」生存への直観は
どこへいったのだろうか。
裏庭の福寿草は、朝夕太陽光に応じて開閉する。
その理由をこどもが発見する前に、
彼らは花弁を使って太陽光を花の中心に集め、
その幾重にも重なった花弁の保熱システムで
昆虫を誘引している宇宙は、学校から分断されている。

福寿草の花弁の保熱システム
昼となく夜となく、遠赤外線を放射する。

不足しているテクノロジーの開発方法

パンデミックの発生によって、
生存に不可欠なエネルギー、食料、住居だけでは不十分になった。
ワクチン開発に必須な実験用コロナウイルスは
身近な感染者からではなく
世界的な各微生物研究所から販売されている。
不足しているテクノロジーの開発方法さえも自然から提供される。
人間はウイルスの遺伝子を解析できても
まだウイルス自体を複製できない。
ましてその起源と目的を理解することは出来ない。

コロナウイルスのスパイクを構成する
タンパク質はテトラ状の螺旋構造

全方向の非同時的「パンデミック」

コロナウイルスは自らを首尾良く複製できる
自然システムによって生存する。
地球経済システムを運営する少数の指導者の思考方法によって
コロナウイルスを「敵」として考える大多数が複製されているが、
コロナウイルスは人類よりも先に
惑星地球に降り立った先住者の可能性が高い。

人類の加速度的な人口増加に未知の方法で対処する
この自然システムは、
人類によるこれまでの敵の殲滅方法よりも、
遙かに効果的に持続しはじめた。
全方向の「パンデミック」こそ彼らの存在理由かもしれない。

‪パンデミックのギリシア語源は、「全方向の人々」を意味する。‬
‪「παν(pan, 全て)+ δήμος(demos, 人々)」‬
‪全方向はグローバリズムによって分断され剥奪された思考方法である。‬
‪パンデミックを実践するためには、思考方法だけではなく、
全方向の統合性において優位でなければならない。‬

コロナウイルスは指導者もネットワークシステムも、
イデオロギーも、そして変動する株価を必要としない。
彼らは対称性に富んだ構造とパターンに棲んでいる。

「SYNERGETICS」 バックミンスター・フラー 1975
球面上の最小の三角形が有する3つの稜線は
最大の地球表面を囲むことができる最大の三角形を形成している。