e・食・住(energy-food-shelter)」カテゴリーアーカイブ

モバイルキッチン

生産される全食糧の過半数は
農場や加工工場の貯蔵庫にはなく
工場やスパー、そして家庭の保冷庫や冷蔵庫にもなく
陸路と海路、そして空路のクール便で
世界中をいつも移動している。
冷蔵庫も
いまや動的な球状の分散型ネットワークを形成している。
冷蔵庫の扉を開けると
輸送機やトラックの動く冷蔵庫の無数の扉がある。

空腹から空頭へ

本当に<空腹>になってから何かを食べれば
ほとんど何でも美味しく感じやすくなっている。
それでもそう感じないほど
本当にまずい食物はたしかに存在するが
<空腹>でなければそれは分からない。
頭と知識の関係もほとんど同じである。
われわれはつねに美味しい知識を食べ過ぎている。
<空腹>と<空頭>とを同時的に連動させて学習すると
物事の相互関係がもっとも効果的に理解できる。
人類の圧倒的な時間は
意図に反して
<空腹>と<空頭>に費やされてきたからだ。

21世紀の雑用(再考)

誰でも、雑用は嫌いである。あるいは苦手である。
しかし、雑用のない仕事は存在しない。
すばらしいと感じる仕事の90%は雑用から成り立っている。
水素の核融合反応によって、2つの水素原子からヘリウムが生成され
そのヘリウムから炭素、窒素、酸素が生成される。
水素原子はこの二つの核融合反応を起こす担い手であり
宇宙全体の活動に深く関わりがあるのは
質量では宇宙全体の55%を占め
宇宙で有限な原子数の90%以上を占めているからである。
水素は、宇宙で最も豊富な元素ゆえに
宇宙の雑用をこなしている。
ありふれた雑用は、個人の統合的な仕事に深く関与している。
それゆえに、個人が宇宙全体の活動に深く関わろうとする場合
分類不可能な「環境の準備」として加速度的な雑用の増加が現れる。  
この進化する雑用こそ
ロボットには代用できない仕事なのである。
雑用を職業的代行として認識しているかぎり。

健康水準(income level)と貧困線(poverty line)

人類の健康は所得水準(income level)に比例する
という20世紀の統計学がある。
この理論では野生生物の健康を説明できないが
少なくとも生命保険会社はこの統計学を
惑星地球の頂点に立つ哺乳類に適用している。
その哺乳類の過半数は貧困線(poverty line)、
つまり最低限度の生活を維持するのに
必要な所得水準以下で生きている。
(30億人以上は1日2ドル未満で暮らしている。)
所得水準や貧困線は動物行動学には存在しない概念である。
それゆえに、その貧困線(poverty line)以下の人口が
毎年拡大している現象は動物行動学では説明できない。

反偽装

それぞれ経営が異なるホテルが
偶然に食材を誤表示していたなら、
例えば、認識不足からより高価なエビを間違って使用して
実際に損をしていた反偽装のホテルが現れてもよさそうだ。
現実社会の多様な偽装に、このような反対称性が存在しないのは
どんな利益にも彼らはモラルを超越できるほど抜け目ないからだ。
その抜け目なさも
自然淘汰された哺乳類の固有の能力なのだろうか。
それとも、安い食材を判別できない
富裕層指向の欲望が利用されただけなのだろうか。

腐葉土(Leaf mold)

台風の記録的な雨量によって
大量の濁流が短時間に都市部の護岸された河川で生まれる。
これらの濁流は海まで最速で運ばれる表土が溶けた液体である。
液体の源流には戦後に大規模に植林された杉森がある。
表土のほとんどはこの針葉樹の葉からは形成されていない。
油分が多い針葉樹の葉は腐植土になりにくいからだ。
大多数はかつての落葉樹や広葉樹の葉から形成された腐葉土である。
腐葉土は微小で多様な土壌動物による生化学的な代謝作用により
分解されて形成された表土なので
岩石が風化作用によって砕かれて細かな粒状となり
地表部に堆積した表土とは区別される。
台風には森林地帯の腐葉土を
洪水によって広範囲に大地に隈無く分配する機能があった。
経済的損失から台風と敵対し
腐葉土を海に廃棄して化学肥料を使用する営農は
生物的ではない。
まして有機的ではない。

観測記録

観測史上最大の記録的な豪雨によって
浸水した地域のほとんどは
農業に適していたことを証明している。
本来は森林から溶け出した腐葉土を
受け取る場所であった。
豪雨は大地震や津波よりも
頻度が高いという観測記録にしたがって
住む場所と職業を選ばなければならない。

斥力的な群れ(cluster)

互いに引き合う張力的関係ではなく
所有欲と支配欲、憎悪などの排他性という斥力的関係によって
われわれは互いに分裂しながら
群れ(cluster)で結びついている。
そうした無数の暴力性を
道徳として偽装する社会を形成している。
互いに引き合う張力的関係が
バイオスフィアのすべての細胞から
大気圏外の太陽系までを
同時的にかつ非同時的に
統合してきたにも関わらず

続)反個性

砂糖の過剰摂取が偏った過食を誘発するように
欲しいと思わせるモノだけを生産すれば
必要なものを買わないようにできる。
互いに異なったモノの所有とその自惚れから
人類の反個性は
手っ取り早く作られる。
反個性のほとんどは
条件反射的な生化学反応にすぎない。