「雑」とは、本来、四季や恋以外のものであった。
雑務とは、中世における所領・年貢を除く民事関係の訴訟・裁判のことである。
雑穀とは、食糧や飼料として広く栽培されている穀物種の総称である。
雑種とは、形態的種、生態的種の間の交配によって
生まれた個体である。
そして、雑草という概念をこしらえたのは、
農薬を製造する化学会社だった。
栽培してお金になる植物以外は、「雑」なのである。
しかし、自然界には、雑種の方がほうが圧倒的に多い。
人類は雑種の代表である。
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サツマイモ
植物にとっては、
毎日は一年の最善の日の連続である。
そして、ついにチャンスを貯蓄できるようになった。
太陽光は電気に変換して売ってもいいが
食べるのも健康にいい。
今日は朝からいい天気だ。
畑のそばで焚き火をして、
焼きいもをこしらえた。
私にとっては最善の日にちがいない。
卵
卵を割らなければ、オムレツは作れないが
有精卵からでなければ、
2番目のオムレツは生まれない。
割るのは最後だ。
新米偽装
採れたての新米の季節になった。
寒冷地ではいまが稲刈りの最中である。
炊きたての無農薬の新米は格別である。
時折ぬか漬け用の糟のために精米するが、
このときばかりは新米の玄米を白米にしようかと迷うほどである。
無農薬の稲穂を脱穀したあとの稲藁を自然乾燥させる時には
特につよい香りが漂う。
これ以上のアロマセラピーがあるだろうか。
この藁をベッドの下に敷き詰めると深く熟睡できる。
稲と人間は神秘的な出会いがあったに違いない。
スーパーで販売される新米はブレンド米である。
ブレンドされるのは、異なった農家で栽培された新米だけではない。
古米がブレンドされる。
さらに、古々米もブレンドされている。
問題はその割合であるが、農協経由のパケージ商品は
通常全体のわずか2割程度である。
人間の味覚の曖昧さが証明されたような数字だ。
しかし、100%の新米を食べ比べる経験があるなら、
新米の占有率は、あきらかに味覚で感じられる。
さらに無農薬の100%の新米を食べ比べる経験があるなら、
新米の名状しがたい香りは、あきらかに嗅覚で感じられる。
休耕田を減少させて食料自給率を向上させたいなら、
もっとも優先すべきは100%の新米と表示した
パッケージ商品を他と区別すべきだ。
人間の五感を蔑んだ食品に未来はない。
隣組(最小単位の5人組クインテット)
より少なくなる集落でも、みんな孤独で隣人を信じていないのは、
単に高齢化したかつての隣組(または5人組)の末裔だからではない。
いまでも集落情報よりも、
警察広報紙、自治体が配布するお知らせなどが
つねに折り込まれる回覧板の回覧が生き残っている
複数の隣組からなる限界集落は、
官主導の隣保組織の象徴なのだが、
他人の真似をする農業を選んだ消費社会の
統制された奴隷の末路なのだ。
自立的経済の可能性は、限界集落という位置づけ以前から、
戦争継続のために破壊されている。
トウモロコシ依存率
トウモロコシは稲科の植物である。
種子の胚乳に含まれる角質デンプンがコーンスターチである。
安い麦酒は麦芽、ホップ以外にコーンスターチを混ぜて作る。
原料の麦芽比率で麦酒と発泡酒が決まる。
牛肉も鶏肉もトウモロコシを原料としている。
ガソリンに混ぜるバイオエタノールもトウモロコシから作る。
国産の肉を食べ、国産の麦酒を飲んでいても、
われわれの体は輸入したトウモロコシでできている。
そして、アメリカの農民は補助金で
これらの加工用のトウモロコシを栽培する。
アメリカの農民も農作物を自給自足しているわけではない。
彼らのほとんどは、農業で稼いだお金で食料を購入している。
人間の主食として利用されるは生産量の3割程度である。
単なるコングロマリットの分業だ。
国防のために正味の自給率を守りたければ、
トウモロコシ依存率を低下させればいい。
牛は穀物ではなく牧草を、
日本人は牛や鶏ではなく、
できれば玄米を直接食べるべきだ。
そして、お酒は日本酒がいい。
できれば、麹とお米から直接自給すればいい。
アルコール生産もトウモロコシ依存症から抜け出すべきだ。
遺伝子組換え農産物用の表示技術
大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、
綿実、アルファルファ、てん菜を使った加工食品には、
遺伝子組換え農産物の表示が義務づけられている。
しかし、「これらの農産物に限って食品の主な原材料ではない場合は
表示しなくてもいい。」という表示条件はほとんど知られていない。
その条件とは、各使用量を重い順に並べたときに4位以下で、
すべての原材料の重さに占める割合が5%未満の場合である。
加工済みの食料品からその割合を検査する時間とコストは、膨大だから、
モラルに訴えているだけで事実上罰則のない法律に近い。
こうした記号のテクノロジーは遺伝子工学の一部である。
食料の不足を前提に
日々の食料に、合法的に危険性や毒性を混入させるために。
無食から無職へ
食欲があっても食を買えなければ、
断食できるのがテクノロジーである。
空腹は、限界を超えれば食欲からの解放がやってくる。
職欲があっても職が見つけられなければ、
このテクノロジーを使えばいい。
無のテクノロジーに350万年も準備したお陰だ。
a rolling stone
狭い家に無理して住んでも金利を奪い、
節約した素食でも健康を奪い、
エネルギーを節約しても使う度に、
地球の富を少しずつ奪うシステムは
ついに水を独占しようとしている。
空気と光が残っている間に
しっかりひきこもるのも悪くない。
増えも減りもしないエネルギー宇宙に。
ここは奪われない唯一の球状シェルターだ。
転がる石にこけが生えないように、
スピンアウトだ。
過剰なテクノロジー
ジーンズには値段に応じて(高くなるほど)ダメージ加工が施してある。
ダメージ加工は機能を短命にするための技術である。
消費の向上のためにジーンズのファッション性が企画され、
意図的に糸を細く弱くしてダメージを効果的に進行させるのである。
こうした計画的陳腐化は、
家電や自動車、パソコンなどで馴染みがある。
肥料と農薬もまた農産物という植物へのダメージ加工に属するだろう。
計画的陳腐化は、不況下では急激に後退する。
つまり、不況下での価格と技術が、本来の性能と機能である。
ほとんどの生きるためのテクノロジーは前世紀に完成済みだ。