思考の幾何学・シナジェティクス

バックミンスター・フラーの独創性が
シナジェティクスを体系化したのではない。
シナジェティクスが独創性を引き連れてくるのだ。
自然がシナジェティクスに
にじり寄って来る時、
シナジェティクスは家畜化されない
思考の幾何学となる。

ハイイロオオカミ 
イヌはオオカミが飼い馴らされて家畜化した

自律する空間構造の経験

子どもの時に
テンセグリティモデルを自分の手で作成して
部屋に吊り下げるまでの経験から
空間は自分で作るという考えが自発的に生まれる。
自律する構造を純粋に相補的に分離された
圧縮力と張力という相互関係から
組織化する経験は言語形成に関係する。
空間と宇宙は社会ではもっとも分断された
不均質性をもつ概念である。
 
放散虫は水中の疑似無重力空間で共鳴している。
共鳴はサバイバル機能に違いない。

つねに環境と共鳴するテンセグリティ(再考)

テンセグリティに振動していない瞬間は存在しない。
テンセグリティはつねに環境と共鳴している。
光でさえ電磁波であり物質系が
基底状態に移るとき共鳴放射する。
その振動とその音に気がつき難いのは
われわれの感覚器の限界を超えた振動数だからではなく
感覚器自体がつねに自己のざわめきで振動しているからである。

テンセグリティシェルター構造 プロトタイプデザイン・制作 2008 
シナジェティクス研究所 梶川 泰司

自己規律と内的経験

フラーからシナジェティクスを直接学んで予想外だったことは、
シナジェティクスモデルを模写から学ぶよりも
自然の原理を物質化する過程で生じる完全な理解のみが誘導する
自然の原理を自ら発見するための自己規律の優位性だった。
それが科学的な方法に属さないとしても
内的経験から生成される自然を観た時だった。

微生物による根からの内的経験は外部化される。

共鳴テンセグリティは弦楽器

張力調整にターンバックルを使用すると
テンセグリティの共鳴作用は減衰する。
それは致命的なエンジニアリングだ。
弦楽器の弦に金属部品がぶら下がっていないように
テンセグリティは弦の純粋な振動数で調律すべき楽器だ。
テンセグリティには見えないターンバックル機能がある。

テンセグリティ構造の共振作用のための
オリジナルの外力分散ジョイント 2011
制作シナジェティクス研究所 構造デザイン 梶川 泰司

コウモリ傘はテンセグリティ構造

コウモリ傘は
コウモリが採用した自然の折りたためるテンセグリティ構造の
プロトタイプである。
強風で傘がひっくり反って漏斗状になる場合
傘の強度が増大するのは
皮膜の表面張力によって圧縮力も飛躍するからだ。
アウトドア用のドーム型テントはこの原理を利用している。

傘の強度が飛躍的に向上する場合

滑らかな見えない壁に囲まれる内部

止めた学校に一度も行ったことがない。
よい子が学ぶ方法を教える教師から
何も学ぶことがなかったのが理由じゃない。
暗い朝にコウモリがどこに帰巣するのか、
超音波で飛行する生物を
どうやって無傷で捕獲する方法に無関心なまま
滑らかな見えない壁に囲まれる内部から
逃亡する本能に目覚めただけ。

コウモリは哺乳類の20パーセントを占める
コウモリはアフリカやアジアでは貴重な食糧
フィリピンオオコウモリ

バックミンスター・フラーの最初の発見と発明

テンセグリティを知らぬまま、
ロックンロールを聴きながら
幾何学や3DCADをやるなんて、
ましてジオデシック構造をデザインするなんて
無駄なことだ。
フラーの最初の発見と発明である
テンセグリティ原理とその構造を
遺伝子レベルで共鳴できないなら、
非共鳴型の学校に行くしかないだろう。

飛行中のコウモリは、風に共鳴するテンセグリティ翼を採用するために
毛細血管はテンションネットワークを形成する。

最後のバックパック

自動気象のテクノロジーは
より小さく軽量になっている。
モバイルシェルターは
最後のバックパックになるにちがいない。
裏庭はますます大きくなる。
裏庭から出かける必要がますますなくなるから。
バックパックはもはや背負うのではなく
友人や家族と長期に居住するテンセグリティ空間だ。

モバイル・テンセグリティシェルター 2008 
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司

最後のバックパックはインドアへのトリムタブ

大気圏外宇宙への移住には
水と食料とエネルギー、そして住居を安全に確保する
テクノロジーが必要になる。
一方、最後のバックパックによって
裏庭がもっとも身近な小さな惑星になる。
富裕層がこの小さな裏庭の「宇宙の富」を見捨てた時、
アウトドアはもっとも高価で危険な大気圏外に移行したのだ。
最後のバックパックはインドアへのトリムタブだ。

世界初のプロトタイプ
モバイル・テンセグリティシェルター 2008
直径6.5m 重量30kg 構造材はすべてカーボン製
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司